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映画「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」は、イラク戦争の開戦理由にもなった“大量破壊兵器”の存在に疑問を持ち、真実を追い続けた新聞記者たちの奮闘を描いた作品です。

世の中に真実を伝えるため執念を燃やした記者たちの実話を映画化したものでもあり、今こそ描くべき骨太で本格的な社会派ドラマに仕上がっているようです!

 






あらすじのネタバレ 

物語のはじまりは2001年のアメリカ。

911日に世界貿易センタービルが崩壊し、ナイト・リッダー社ワシントン支局も騒然としていました。

記者の1人ジョナサン・ランデイをはじめとした面々は、ウサマ・ビンラディン率いるテロ集団・アルカイダが引き起こしたテロだとの見解を持ちます。

支局長のジョン・ウォルコットは、なるべく多くの情報源から正式なコメントを貰えと指示を出します。

しかし翌日、記者の1人であるウォーレン・ストロベルが国務省高官に詳細を尋ねると、アルカイダの本拠地であるアフガニスタンでは無く、イラクについての話し合いがなされていることが分かりました。

イラク侵攻を発言しだしたのは国防長官ラムズフェルドで、イラクのサダム・フセインは彼らにとって湾岸戦争以来の宿敵に当たる人物。

ウォルコットはこの情報にいかれた話だと声を荒げます。

 

イラク侵攻の考えに疑いをかけ調査に乗り出した記者たちは、「パウエル国務長官だけがイラク侵略に反対し、対象はアフガニスタンだと主張している」ことや、「イラクの関与はあり得ないとの見方を持っている」とのこと、「フセインとアルカイダが繋がっているなど不可能」「関係していると考えるのはモスリムの世界に無知」との見解や情報を集めました。

 

一方で、国家安全保障の専門家・ルースからコメントを拒否されたり、CIAの分析官から「政府はイラク侵攻に本気で、テロ実行犯に対し十分な時間が掛けられない」ことや、「ビンラディンを倒せば世界中に紛争が広がる」という懸念も聞かされます。

 

しかしブッシュ政権は、その証拠を持たないまま、イラクが核兵器をはじめとする大量破壊兵器を開発・保持していることに疑いはないと発表。

NYタイムズやワシントン・ポストなどの大手新聞社、またアメリカ中の記者が大統領の発言を信じた報道を続け、アメリカ国内での愛国心も高まりを見せていきます。

 

そんな中でブッシュ政権の主張に疑問を投げかけるナイト・リッダー社の記事は、現状にそぐわないと無視する態度を取られてしまいます。

ナイト・リッダー社の報道は、ことごとく孤立してしまうのです。

ウォルコットはそれでも真実を求める姿勢を貫き、長い蓄積から多くのコネを持つギャロウェーをナイト・リッダーに引き込みます。

 

あらゆる大手メディアが政府見解を垂れ流し続ける中、ナイト・リッダー社はギャロウェーの協力もあって、「ラムズフェルドが自分達の思惑に合う後付の情報を探している」ことや、「イラクがウラン濃縮のために買ったとされるアルミニウム菅はその用途で利用できない」こと、情報源となっているイラクからの亡命人アフマド・チャラビーやアメリカ副大統領のディック・チェイニーの「ウソ」などを暴き、少しずつ得た情報をパズルのように組み合わせて真実を追及します。

 

しかし2003 年、イラク戦争は開戦。

多くのアメリカ兵がイラクへ派遣され、ナイト・リッダー社の執念はアメリカ合衆国に届かないまま時代は進んでしまうのでした。

  

イラク戦争での犠牲を経たのち、イラクに大量破壊兵器は存在せず、それが情報の捏造だと明らかになります。

大手メディアも間違いを認めますが、戦争ムードが高まる過程に大手メディアが果たした役割は大きさ、イラク戦争におけるアメリカメディアの恥ずべき共犯性、そして真実を探求する“ジャーナリズム”がいかに大切か、という部分に焦点を当てた映画が今作「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」のようですね!

 

 

より一層、映画「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」を楽しむために!

 

前回は、映画「記者たち」の内容や結末をネタバレ有りでご紹介してきました。

普通の映画だったのなら、映画内容のネタバレは御法度だと思います。

しかし!今作はネタバレを読み、予習を行なった上で楽しんでほしいと思うのです!

 

その理由はまず、今作が事実に基づいた内容の映画であるため。

 

この映画は、「イラク戦争は“大量破壊兵器保持”を理由に開戦された」というニュースが信用を得ていたことを前提に制作されています。

そもそもその常識を知らなければ理解の難しい話となってしまうでしょう。

その常識を知った上で、“その大義が信用出来るものだったのか”を考えたり、“大手メディアの役割”や“真実を探求するジャーナリズムがいかに大切か”を問うことができ、この映画の本質を捉えることが出来るのではないかと思います!

 

また今作の役柄にモデルが存在していることも、予習して映画を見てほしい理由に挙げられます。

 

事実に基づいた内容である通り、ナイト・リッダー新聞社はイラク戦争に関しての疑問点をあげ、政府の嘘を追う報道を行なっていた機関です。

今作に登場するキャラクター達も、ナイト・リッダー新聞社に実在した記者達がモデルとなっています。

モデルになった記者たちが映画の撮影現場でアドバイザーを務めたということもあり、記者たちの苦難・苦悩・怒り、そして時にある喜びが等身大で描かれているんですよね。

それを知った上でこの映画を見ることは、ナイト・リッダー新聞社とその記者達へ敬意を示すことに繋がりますし、より一層心を揺さぶられることになると思います!

 

そしてこの出来事が歴史上というには早い、15年ほど前に起こっていた事実であるという点も、予習をしてほしい理由です。

 

いかに身近なところで起こっていた出来事なのか、自分達がこの出来事にどれだけの影響を受けていたのか、今なら振り返ることが出来るだろうと思います。

そんな振り返りを持った上でこの映画を見てもらえれば、新たな視点から“イラク戦争”を、そして“平和”を考えることが出来ると思います!

 

より一層映画「記者たち」を楽しむため、また、より一層この映画の意義を考えてもらうため、ぜひ予習を行なった上での観賞をオススメしたいのです!

 

 

 

現実に、イラクにあるとされた大量破壊兵器は存在せず、それが大手メディアも間違いを認める情報の捏造であったように、理不尽なことが起こる現実というものは残念ながらあるのだと思います。

現在で言えば、トランプ政権とそれに対する報道が当てはまり、トランプ大統領が都合の悪いメディアの報道を“フェイクニュース”とこき下ろす姿は記憶にも新しいと思います。

 

それでも、世界的に見たアメリカの“ジャーナリズム”はきちんと政府と対峙する力を持ち、認められている存在です。

世界を見れば、政権や権力者を批判しただけで逮捕・投獄されたり、生命を奪われたりする国もありますし、日本も例に洩れず、仕事をなくす・メディア界から追放されるといったことが起こり得ているのが現実です。

 

この映画を見ることで、このような理不尽な現実があるということに気付き、“ジャーナリズム”の問題を考えてほしいというのが、今作の監督・ロブ・ライナーの訴えなのだそう。

そんな意図を感じられるかにも注目して、今作を観賞してみてほしいと思います!

 

 

 

“ジャーナリズム”の問題は難しく考えがちだと思うのですが、想像よりずっと自分達の身近にあるものなのだと感じました。

世の中にはさまざまな嘘や悪質なデマが存在する、真実というものが不確かになっているという意識を持つことは、記者だけではなく、私達自身も現代において必要な心構えなのかも知れませんね。

その上で11人が“真実を知りたい”という意志を貫くことが、“ジャーナリズム”がきちんと力を発揮出来る世界を造ることにもなるのかなと思います。

 

多くの人にとって、映画「記者たち」が社会問題を考えるきっかけになることを願います!